職場における健康づくり・成人病(生活習慣病)は予防できるか?

1)今なぜ職場での健康づくり・成人病の予防が必要なのか?

人口ピラミッド
             (総務庁統計局・人口推計より)

 上の人口ピラミッドを見ても解るように、早晩老齢化社会が到来することが明らかとなっています。よって、老齢労働人口の増加も必死となるわけです。そこで、社会的にも、労働衛生の観点からも、成人病(生活習慣病)を予防し、高齢者の有病率の低下、健康な質の良い労働力の確保を図っていくことが必要と思われます。また、此の10年間くらいに、一般の定期健康診断での有所見率の増加が見られるようになり、外来受診数や、入院患者数も中高齢者を中心として急増してきました。

受診者数の年次推移

受診者数の年次推移

年齢別受診者数の推移

年齢別受診者数の推移
                                            (平成7年国民生活基礎調査より)

 そしてこの内訳は、疾患別に見てみると、高血圧症(以下いずれも千人対63.0)、虚血性心疾患等(21.4)、糖尿病(14.6)などがその主たる原因となっています。
 したがって今、現在、成人病(生活習慣病)を予防することが、社会的にも労働衛生の面からも急務となっているのです。
 

2)いかにして成人病(生活習慣病)を予防するのか?
 
 従来、各市町村では、癌や成人病の早期発見を目的として、各種癌検診や成人病検診が、各企業では、一般定期健康診断や、職業性疾病の早期発見を目的とした特殊健康診断が行われてきました。
 しかし、これだけではすでに発症した疾病を発見するだけで、疾病を積極的に予防することは出来ません。
 そこで、最近注目されてきているのが、「健康度」という概念です。すなわち、現在疾病とは診断されていないが将来的には成人病を発症する可能性が非常に高い集団を見いだし、彼等の生活習慣や食生活を改善することにより、疾病予防を計っていこうというのが、現在の考え方の主流になろうとしてきています。