トレーニングにおける7つの間違い

marason【付録:テーピングに関する最近の話題】

1.水分摂取の間違い
試合中やトレーニング中にはいっさい水分を摂取しないというのが、従来の常識でした。水分を摂取すると、腹痛を起こすとか疲労を増加させるとかいわれ口渇を根性論で克服してきました。しかし今日では、脱水・塩分喪失・日射病を予防するために、口渇が現れる少し前から水分・塩分を補給するのがよいとされています。フルマラソンでは発汗により4〜5kgの体重減少が生じるといわれています。

体重の2%の発汗で 強い口渇
〃〃〃3%〃〃〃〃 血液濃縮
〃〃〃4%〃〃〃〃 運動抑制
〃〃〃6%〃〃〃〃 頭痛・熱性困ぱい
が生じます。

<正しい水分摂取法>
発汗量に見合った水分量に汗中の塩分濃度に見合う塩分を添加し補給するのが最適と思われます。水温は10℃前後が最適と思われます。生水はかえって脱水症状を助長することがあり、以前運動中の水分摂取を禁じていたのは、このことによるのではないかと思われます。

2.トレーニングすればするほど強くなるという間違い

過剰なトレーニング負荷によって、運動能力や競技成績が低下して容易に回復しない状態が生じます。これをオーバートレーニングと呼んでいます。一種の慢性疲労状態で、トレーニング負荷と
回復のアンバランスによって生じます。

一般的に、トレーニングを行うと左図のように、疲労が生じ、運動能力は一時的に低下します。しかし、回復過程において、適応が生じ、運動能力の向上がみられる時期が出現します。これを超回復と呼びます。したがって、この超回復期に、次の負荷をかければ効果的なトレーニング効果が得られるわけです。しかし、トレーニング間隔が長すぎると超回復の効果が消失し、トレーニングの間隔が短すぎたり負荷量が大きすぎるとオーバートレーニングが生じるわけです。

.腹筋のトレーニング法の間違い

従来の腹筋のトレーニング方法は、下肢を伸展したまま上体起こしを繰り返していました。しかし、この方法では腹筋に十分な負荷をかけることができず、主として大腿四頭筋への負荷となっているのです。したがって、腹筋に十分な負荷をかけるためには膝関節を屈曲し(下肢を屈曲し)、大腿四頭筋の緊張をやわらげた状態で上体起こしを行う必要があるのです。

4.ウサギ飛びは根性しか鍛えない

以前より、下肢のトレーニングといえばウサギ飛びと、ウサギ飛びは下肢の強化の代名詞のようにいわれてきました。しかし、最近ではウサギ飛びはあまり効果がないといわれるようになり、むしろ禁止すべきだとさえいわれるようになってきています。すなわち膝関節や腰椎に対する不自然な負荷が非常に大きいため、腰痛や膝関節障害の原因となるのです。したがって、最近もっともよく行われている下半身の強化種目はスクワット(両足を肩幅よりやや広く開き、膝関節を90°位まで屈曲し、また直立にもどるという運動)です。

5.幼少年期でのトレーニングの間違い

現在、サッカーや野球などの少年スポーツクラブでは、ほとんどのチームが、毎日練習し、日曜には複数回の試合をこなすといったスケジュールでトレーニングを実施しています。この様な状況ではほとんどの中心選手が、オーバートレーニング状態となり、将来野球肘・リトルリーグ肩・オスグッド病(サッカー)などに悩まされることとなるわけです。最近のデーターによると、1週間の練習時間の総計が14時間を越えると、極端に障害の発生頻度が増加するといわれています。したがって、幼少年期でのトレーニングでは勝敗に固執することなく、スポーツ障害をいかに防止するかということを第一に考えて練習スケジュールをたてる必要があります。

具体例としてアメリカのリトルリーグでやっている方法を紹介します。

1)9〜12歳までは
a)4イニング以内の投球なら1日は完全に休むこと
b)4イニング以上なら3日間は休むこと
c)1週間に6イニング以上投げないこと

2)13〜14歳では
a)1週間に9イニング以上投げないこと
b)4イニング以上投げたら3日間は完全に休むこと

6.種目・目的によりトレーニング法が異なる

トレーニングと一言でいっても様々な側面からのトレーニングがあります。それを大まかに分類すると以下のようになります。

1)各種目に応じた技術的トレーニング
2)筋力のトレーニング
3)呼吸・循環器系のトレーニング
4)全身持久力のトレーニング

1)について
この分野に関しては各種目のコーチの先生方にお任せします。

7.筋力トレーニングの時期と方法の間違い

筋力トレーニングの効果は年齢と性別で極端に異なります。男性では、20歳代がその効果がもっとも顕著な時期です。この時期の効果を100%とすると10歳までの効果は約50%、15歳頃には80%程度に増加します。30歳を過ぎるとその効果が急激に減少し、50代では50%に減少します。女性では、年齢による効果の差異は少なく、その効果は男性の50%にも満たないのです。したがって、少年スポーツと女性のスポーツに置いては無理な筋力トレーニングは百害あって一理なしということです。