糖 尿 病

糖尿病とは、膵からのインシュリンの分泌低下、もしくは局所でのインシュリンの利用率の低下といった、相対的インシュリン作用不足がもたらす、高血糖状態を言います。したがって、糖尿病の病型としては、膵インスリン分泌細胞が破壊され、絶対的インスリン不足となっているインスリン依存型糖尿病(IDDM・I型)と、肥満などを基礎として、組織でのインシュリンの利用率が低下しているインスリン非依存型糖尿病(NIDDM・II型)と大まかに分けることができます。そして、生活習慣病と、密接に関連しているのは、インスリン非依存型糖尿病(II型)なのです。したがって、II型の糖尿病の場合は、生活習慣を改善することにより大きく改善することが望めます。
糖尿病の合併症としては、網膜症・神経症・腎症が有名で、いずれもが血管障害を基礎としており、下に示すような病変を起こしてきます。


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                                                         (平田幸正ら編集:糖尿病外来診療のポイントより)


糖尿病性神経症は、起立性低血圧症・排尿障害・便秘・インポテンツなどの自律神経障害に始まり、上図の様な動眼神経麻痺や、末梢神経障害を引き起こしてきます。進行すると、図の様な潰瘍を形成し、下肢切断をやむなくされる場合も起こってきます。糖尿病における、全身傷害は主として最小血管障害によるものですので、しばしば上図の様な壊疽を起こしてきます、最悪の場合は、切断以外に対処方法がありません。上図の様に眼底に増殖性網膜症を起こすと失明の可能性もあります。腎症を起こすと、最終的には透析に頼ると言うことになります。現在慢性透析を受けている患者さんの約半数は、糖尿病による患者さんだと言われています。
したがって、バランスのとれた食事や適度な運動をする様に心がけ、生活習慣を改善しましょう。それでも遺伝性の素因の強い方は糖尿病を発症することがありますので、その場合は、食事療法を厳重に行い(男性:1800Kcal/日、女性:1600Kcal/日)、主治医とよく相談して、必要があれば、経口糖尿病薬やインスリンの投与を受けましょう。


<糖尿病の診断>

糖尿病の診断は、主として75g糖負荷試験(75gOGTT)やHbA1cなどで行われますが、75gOGTTがもっとも重要となります。その基準値は左図に示す通りです。

75gOGTT 左の基準で糖尿病型にはいった方は、糖尿病の可能性が大ですので、HbA1cなどの検査とともに医師の診断を受けて治療につとめましょう。正常型の場合は特に問題はありませんが、境界型となった場合が問題です。この範囲に入る型のすべての方が、将来必ず糖尿病になるというわけではありませんが、とりあえず糖尿病の予備軍であると自覚し、生活習慣の改善に努める必要があると考えられます。特に、肥満になると糖尿病型へ移行するリスクが約2倍になるといわれていますので、ご注意ください。