テーピングに関する最近の話題


rugby
最近、スポーツに対する科学的な取り組みが盛んとなり、コンディショニングにおいてスポーツ医学が果たす役割は重要なものとなってきています。そのなかでも、とりわけ、テーピングが注目されるようになり、その有用性や、効能について、医師やトレーナーから数多くの報告がされています。まさにテーピング万能論花盛りと言った状態です。しかし、テーピングにもその有用性と伴に、自ずとその限界もあるわけですから、そのことをよく踏まえておかなければならないと思います。そこでここに、テーピングに関する基本的考え方と、最近話題となっている、幾つかのトピックを紹介し、問題点を整理しておきたいと思います。

<テーピングの目的>

1)外傷の発生予防
2)応急処置
3)軽度の外傷の治療
4)外傷の再発予防とリハビリテーション
5)関節のラグジティー(緩い)に対する処置

basketball

<アスレチック・テーピング>

上記テーピングの目的を包括的に総合し、アメリカンフットボールやラグビーなどを中心に発展してきたものがアスレチック・テーピングと言っても良いと思います。すなわち、従来の目的であった、関節の固定・関節可動域の制限・関節強制・痛みの調整と言ったことのみならず、痛みの調整・筋力の補助・神経受容器の刺激(運動能力の向上)と言ったことも期待できる、治療をも含めた処置として発展してきています。特に最近話題となっている、ファンクショナル・テーピング法、キネシオ・テーピング法スパイラル・テープ法(”東洋医学的なツボ”を小さなテープで刺激する)などは、アスレチック・テーピングをさらに発展させたものといえるかもしれません。しかし現在のところ、キネシオ・テーピング法スパイラル・テープ法に関しては何らの医学的裏付けは証明されていません。

soccer

<テーピングの問題点と限界>

テーピングにおける最大の問題点と限界は、その持続性であると思われます。ごく一般的に言って、テーピングは、身体に貼られてから約30分〜60分でその物理学的関節制動効果はほぼ消失します。特に膝関節では、ほぼ10分程度しかその物理的効果は持続しないため、テーピングによる関節の固定・可動制限と言った効果は試合中ほとんどの時間において期待できないわけです。したがって、膝関節にはブレース(補装具)を用いる方がより効果的であるとも言われるようになってきています。このようなことから考えると、今後は、テーピングだけに頼るのではなく(確かにテーピングは安価でスマートなのですが)、障害の部位や、種類によって、テーピングとブレースをうまく使い分けたり、共用したりすることが必要であると思われます。しかし、上にも少し述べたように、テーピングの効果には、関節の固定・制動と言ったものだけではなく、関節を保護されていることによる安心感、神経受容体への刺激効果と言ったものも否定はできず、これらの点は今後の研究課題となって行くでしょう。