高脂血症


1)高脂血漿

monariza ご存じ『モナリザ』の肖像画ですが、よくごらんになると左目の目頭に、やや盛り上がった部分があることにお気づきだと思います。これは歴代の学者たちによりますと、黄色腫ではないかといわれています。黄色腫はコレステロールが蓄積したもので、高LDL血漿であるといえます。したがってモナリザは高コレステロール血漿だったということになるのです。典型的な眼瞼黄色腫は次のようなものです。




















ooshokushu このような黄色腫は高脂血漿の方すべてにできるわけではありませんが、このような黄色腫のある方すべてに高脂血症を認めます。
高脂血症には、大まかに言って、高中性脂肪血症と高コレステロール血症とがありますが、高中性脂肪血症は主に肥満や糖尿病と関係が深いと言われています。動脈硬化と密接な関係を持っているのは、高コレステロール血症と言われています。ここでは主に高コレステロール血症について説明したいと思います。一口に高コレステロール血症と言っても、臨床的には、総コレステロール値、LDLコレステロール値、HDLコレステロール値の3つの値が主に問題とされます。LDLコレステロールとHDLコレステロールおよび中性脂肪の約20%を加えたものが、総コレステロールとなります。それぞれの正常値は、左の表のようになります。




seijouchi コレステロールの正常値は左図の様になります。総コレステロールは220以上が異常値で、250を越すと薬剤投与が必要となります。LDLコレステロールは140以上で軽度以上、180を越えると投薬が必要となります。HDLコレステロールが40を切ると動脈硬化の恐れがあります。この中でLDLコレステロールが、もっとも密接に動脈硬化と関連しており、総コレステロール300以上、LDLコレステロール220以上、HDLコレステロール29以下で高度異常と言うことになります。












doumyakukouka 左の図のように、LDLによってコレステロールが組織に運ばれます。そして、このコレステロールが、動脈壁に沈着すると動脈硬化となります。一方、HDLは組織のコレステロールを肝臓へと運びます。
したがって、血液中のLDLコレステロールが、高いと(150以上)動脈硬化になりやすく、HDLコレステロールが高いと動脈硬化になりにくいということになります。そして、動脈硬化が進行すると、狭心症・心筋梗塞や脳血管障害(脳梗塞等)の頻度が高くなってくるのです。総コレステロールが240,LDLコレステロールが200を越えると、心血管疾患や脳梗塞を起こす頻度が正常の2倍になります。

(以上の図・表は中村春男著及び日本医師会編「高脂血症」より)