企業における「エイズ」対策
 


「エイズ問題」は、1996年に凝固因子製剤によるHIV感染が、社会問題として注目のピークを迎えていましたが、現在、社会的にも職場においても、この問題はやや風化しかけてきています。しかし、この間にも凝固因子製剤に関連しない、HIV感染者・患者は着実に増加してきています。とりわけ日本人女性の感染者患者の増加は確実なものとなってきています。この様な状況に気づかず、「エイズ」は個人的な問題で企業や組織には関係ないと、お考えの方がほとんどと思われますが、海外派遣労働者を抱える企業が、中小企業も含めて急増している現状や、各企業における外国人労働者の存在の一般化という状況において、「エイズ問題」は無視できない問題となってきています。
  世界はもはや一つとなりつつあります                                      
この問題は、一歩間違えば非常に複雑な人権問題ともなりかねませんので、慎重に対処する必要があると思われます。参考までに、労働省が示した、指針がありますので紹介しておきます(あくまでも参考です)。

<職場におけるエイズ対策の基本的考え方>

(エイズ教育)
1)事業者は、職場において労働者に対しエイズ教育を行い、エイズに関する正しい知識を提供すること。
2)事業者は、エイズ教育や相談等の企画、実施に当たって産業医に中心的役割を担わせること。

(HIV検査)
3)職場におけるHIV感染の有無を調べる検査(以下「HIV検査」という。)は、労働衛生管理上の必要性に乏しく、また、エイズに対する理解が一般には未だ不十分である状況をふまえると職場に不安を招くおそれのあることから、事業者は労働者に対してHIV検査を行わないこと。
4)事業者は、労働者の採用選考を行うにあたって、HIV検査を行わないこと。
5)労働者が事業場の病院や診療所で本人の意思に基づいてHIV検査を受ける場合には、検査実施者は秘密の保持を徹底するとともに、検査前及び結果の通知の際に十分な説明及びカウンセリングを行うこと。

(HIV感染の有無に関する秘密の保持)
6)事業者は、HIV感染の有無にに関する労働者の健康情報については、その秘密の保持を徹底すること。

(雇用管理)
7)事業者は職場において、HIVに感染していても健康状態が良好である労働者にについては、その処遇において他の健康な労働者同様に扱うこと。また、エイズを含むエイズ関連症候群に罹患している労働者についても、それ以外の病気を有する労働者の場合と同様に扱うこと。
8)HIVに感染していることそれ自体によって、労働安全衛生法第68条の就労禁止に該当することはないこと。
9)HIVに感染していることそれ自体は解雇の理由とならないこと。

(不慮の出血事故等における感染の予防)
10)事業者は、職場における労働者等の不慮の事故の際の労働者へのHIV感染の予防のため、労働者に対する応急手当の方法の教育、ゴム手袋の備え付け等の必要な措置を講ずること。
以上です。

エイズ対策について考えるときのたたき台としてご利用ください。
エイズ克服!